さて、今回も球史に残る大投手の紹介になります。豪速球とカーブを武器に、広島東洋カープで活躍し、20勝を2回達成。史上2人しかいないノーヒットノーランを3回記録した外木場義郎投手を紹介します。
さらに、外木場投手は、日本シリーズでも熱闘し、シリーズ延長13回を完投した雄一の投手でもあります。
○無安打無得点を3回達成したときの相手チームとスコア、球場名など詳細
○外木場義郎投手の経歴
○広島東洋カープのエースとして活躍ぶり
○阪急ブレーブスとの日本シリーズで延長13回を完投した試合の詳細
○外木場義郎投手の年度別投手成績
○外木場義郎投手の通算成績
無安打無得点試合を通算3回達成

さて、突然ですが、日本のプロ野球は、完全試合や無安打無得点試合が何回達成されたかわかりますか?
答えは、先月達成したヤクルトスワローズの小川泰弘投手まで、82人が93回達成しています。(1リーグ時代含む、継投などは除く)
多いような気もしますが、例えば、年間42勝した稲尾和久投手や、通算350勝以上した米田哲也投手、通算320勝した小山正明投手などは間違いなく大投手ですが、未達成のまま引退しています。
実際に、達成した投手の中には、通算で50勝もしていない投手も結構います。
そんな中で、3回達成した投手は、戦前、ベーブルースやルーゲーリッグから三振を奪ったことで有名な伝説の投手沢村栄治投手と、この外木場義郎投手です。
因みに沢村投手が完全試合未達成なのに対して、外木場投手は大洋ホエールズ相手に達成しているので、この部門の最高選手とも言えると思います。
外木場投手の最初のノーヒットノーランは、新人の年の昭和40年10月2日の甲子園球場の阪神タイガース戦。僅か1四球与えただけのプロ入り初勝利でもありました。スコアは2-0
達成時のインタビューで、「何ならもう1度やりましょうか?」という強気の発言が飛び出して記者たちを驚かせました。
2回目のノーヒットノーランは昭和43年9月14日の広島市民球場の大洋ホエールズ戦。史上10人目の完全試合で、16奪三振のセリーグ記録のおまけ付き。スコアは2-0
3回目のノーヒットノーランは、昭和47年4月29日の広島市民球場。それまで7年連続日本一を達成している、長嶋茂雄、王貞治がいる巨人戦でした。スコアは3-0
高卒後、電電九州をへて広島東洋カープに入団

外木場投手は、昭和20年に鹿児島県出水市に生まれれました。出水高等学校時代は、昭和38年に夏の甲子園の県予選決勝に進みますが、鹿児島高に惜しくも1-0で敗退します。
卒業後、電電九州に進み、昭和39年の都市対抗に出場。しかし、北海道拓殖銀行に敗退します。
その後、広島、大洋、近鉄、東映のプロ野球からのオファーがきます。外木場投手は、セリーグ希望でしたので、広島カープに入団します。

広島東洋カープのエースとして活躍

入団して3年間こそ、僅か4勝しかあげられませんでしたが、4年目の昭和43年に21勝をあげてブレイクします。この年は、防御率1.94で最優秀防御率に輝きます。
以後、9年間で8度の2桁勝利と完全に広島カープのエースとして活躍。特に、広島が念願の初優勝した昭和50年には、2回目の20勝投手となり、193奪三振で、奪三振王にもなりました。
外木場投手の特徴は、豪速球に加えて、キレのあるカーブです。例えば、同世代の堀内恒夫投手がタイミングを外すために投げたカーブとは違い、カーブそのものの威力で、勝負しました。
通算の成績こそ、131勝138敗と7つ負け越していますが、投手の本当の実力をはかる防御率は通算で2.88と1流投手であったことの証明です。
最多投球回も昭和44.49.50年と3度も記録しています。
阪急ブレーブスとの日本シリーズで延長13回を完投引き分け
広島東洋カープが初優勝した昭和50年の日本シリーズの相手は、阪急ブレーブスでした。
外木場投手は、そのシリーズの第4戦で延長13回を200球投げて完投しました。
(スコアは4-4の引き分け)
日本シリーズでの、1試合での最多投球回+最多投球数になっています!(#^.^#)
大橋選手からの4個を含め、13奪三振を奪っています!
↓下記は、相手チームの阪急ブレーブスのスコア
守備位置 | 名前 | 打数 | 安打 | 打点 | 四球 | 三振 |
(中) | 福本 | 7 | 1 | 0 | 0 | 1 |
(右) | 大熊 | 6 | 1 | 0 | 0 | 0 |
(一) | 加藤 | 6 | 1 | 1 | 0 | 3 |
(左) | 長池 | 6 | 1 | 1 | 0 | 1 |
右 | ウイリアムス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
(二) | マルカーノ | 6 | 1 | 0 | 0 | 1 |
(三) | 森本 | 4 | 3 | 1 | 1 | 0 |
三 | 渡辺勉 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
代打 | 高井 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
三 | 井上 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
(捕) | 中沢 | 6 | 1 | 0 | 0 | 2 |
(遊) | 大橋 | 6 | 1 | 0 | 0 | 4 |
(投) | 足立 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
代打 | 当銀 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
投 | 戸田 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
代打 | 河村 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 |
走 | 平林 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
投 | 山口 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
合計 | 54 | 15 | 4 | 1 | 13 |
外木場義郎投手の年度別投手成績
年度 | 勝利 | 敗戦 | 投球回 | 奪三振 | 防御率 |
昭和40 | 2 | 1 | 51.1 | 34 | 1.41 |
昭和41 | 0 | 1 | 32.1 | 23 | 3.66 |
昭和42 | 2 | 3 | 78.1 | 57 | 2.65 |
昭和43 | 21 | 14 | 302.1 | 260 | 1.94 |
昭和44 | 11 | 20 | 304.1 | 223 | 2.69 |
昭和45 | 13 | 14 | 228.1 | 157 | 2.64 |
昭和46 | 9 | 12 | 155.1 | 113 | 3.89 |
昭和47 | 11 | 15 | 230.2 | 158 | 3.35 |
昭和48 | 12 | 19 | 249 | 160 | 2.64 |
昭和49 | 18 | 16 | 310.1 | 196 | 2.82 |
昭和50 | 20 | 13 | 287 | 193 | 2.95 |
昭和51 | 10 | 5 | 144.1 | 86 | 3.94 |
昭和52 | 1 | 2 | 21.1 | 4 | 5.57 |
昭和53 | 1 | 3 | 23.1 | 14 | 5.87 |
昭和54 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0.00 |
合計 | 131 | 138 | 2419.1 | 1678 | 2.88 |
外木場義郎投手の通算成績
身長 | 175cm | |
体重 | 78kg | |
利き腕 | 右投げ右打ち | |
守備位置 | 投手 | |
背番号 | ||
所属球団 | 広島カープ | |
実働 | 15年 | |
登板 | 445 | |
先発 | 318 | |
完投 | 118 | |
完封 | 27 | |
無四球 | 11 | |
勝利 | 131 | |
敗戦 | 138 | |
勝率 | .487 | |
投球回 | 2419.1 | |
与四球 | 691 | |
奪三振 | 1678 | |
防御率 | 2.88 | 2点台をキープ |
最多勝 | 1回 | 昭和50年 |
最優秀防御率 | 1回 | 昭和43年 |
最多奪三振 | 1回 | 昭和50年 |
最高勝率 | 0回 | |
MVP | 0回 | |
沢村賞 | 1回 | 昭和50年 |
ベストナイン | 1回 | 昭和50年 |
ゴールデングラブ賞 | 0回 |