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1シーズン42勝。3年連続30勝 【鉄腕】稲尾和久投手の成績

さて、皆さんは、日本のプロ野球の個人の投手の1シーズンの最多勝利数はいくつだかわかりますか?25勝?それとも30勝?

いずれも違います。答えはなんと42勝です!
(*^-^*)

クロ
クロ
42勝はたまげたニャー

近年では、2013年に、楽天の田中将大投手が、24勝0敗を記録しましたが、42勝には全くとどきませんでした。

今回紹介する投手は、その1シーズン42勝というとてつもない記録を持ち

「神様、仏様、稲尾様」

とまで言われた、西鉄ライオンズの大投手、稲尾和久投手の紹介になります。

稲尾さんは、公式戦以外にも、日本シリーズでも超人的な活躍をして、記録にも記憶にもる大投手です。

改めて、稲尾投手の功績をふりかえります。

この記事を読むとわかること

〇稲尾和久氏の生い立ち、高校時代

〇稲尾和久投手の西鉄ライオンズでの活躍

〇稲尾選手投手のもつ沢山の記録

〇稲尾和久投手のピッチングの特徴

〇稲尾和久投手の日本シリーズの成績

〇稲尾和久投手の年度別投手成績

〇稲尾和久投手の通算成績

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船を漕いだ少年時代


稲尾和久さんは、大分県別府市に昭和12年、6月10日、7人兄弟の末っ子として生まれました。

稲尾さんの父親は漁師で、稲尾さんも、少年時代から舟に乗って漁を手伝っていました。稲尾さんはこのときの経験を、「舟の上に乗ってバランス感覚が鍛えられた」と語っていました。

因みに、稲尾さんの父親は、町の相撲大会で、のちに大横綱になる、双葉山を負かしたことがあります。稲尾さんの投手としてのもの凄い体力は、やはり素質からして違っていたようですね!

高校は、地元の大分県立別府緑丘高校に進学します。はじめはキャッチャーをしていました。

1年生の秋に投手に転向し、2年生ではエースになります。ます。しかし、甲子園には届かずに、稲尾さんほどの投手が高校時代は目立たない存在でした。

無名の投手として西鉄ライオンズに入団 3年連続30勝

さて、稲尾和久投手は全国的には無名の投手でした。昭和31年に三原脩監督の西鉄ライオンズに入団します。入団したばかりの春の島原のキャンプでバッティングピッチャー(打撃投手)をやらされます。

1分間に8球。1時間にすると480球にもなります。

稲尾さんは来る日も来る日も投げ続けました。しかし、これでコントロールがついたようです。

高橋ユニオンズ戦で初勝利を挙げると以後8連勝。シーズンが終わってみると、21勝6敗、防御率1.06。新人ながら20勝をあげて、最優秀防御率のタイトルを獲得します。

しかも、262.1投球回を投げながら、打たれた本塁打はわずかに2本だけ。

新人王は、この稲尾和久投手と、ルーキーながら打率.289でベストテンの6位、180安打を記録した高橋ユニオンズの佐々木信也選手の争いになりましたが、稲尾投手が受賞しました。

稲尾投手と佐々木選手の昭和31年の対戦は18打数1安打で稲尾投手が抑えているよ!
ふっく
ふっく


昭和32年は20連勝という当時の日本記録をつくるとともに、35勝6敗、防御率1.37
勝率.854で最多勝、最優秀防御率、最高勝率と投手タイトルを独占します

チームもリーグ優勝し、日本シリーズでも巨人を4勝0敗1分けで退けます。

稲尾投手は、この年、20歳の若さで史上最年少の最高殊勲選手(MVP)に選ばれます。

昭和33年も33勝をあげて優勝に貢献し、稲尾さんは2年連続して最高殊勲選手に選ばれました。

昭和34年は、南海ホークスに優勝をされたものの稲尾さんはまたも30勝をあげ、エースの座を不動のものとします。

ふっく
ふっく
3年連続の30勝は、他の投手の誰も達成していない記録で、稲尾さんのつくった記録の中でも代表的な記録になっているよ!

鉄腕、稲尾投手の日本シリーズでの快投

稲尾投手は舞台を日本シリーズにうつしても活躍しました。通算で4度の日本シリーズに出場。

年度 試合 稲尾勝敗 投球回 奪三振 防御率
昭和31 6 3勝0敗 22.2 18 2.35
昭和32 2 2勝0敗 18 17 2.50
昭和33 6 4勝2敗 47 32 1.53
昭和38 4 2勝2敗 26 17 4.15
18 11勝4敗 113.2 84 2.45

通算11勝は、巨人のV9エース、堀内恒夫投手に並ぶ大記録です。

特に、3連敗から4連勝して奇跡の逆転劇で勝った昭和33年の日本シリーズは、負け試合を含めて5連投し、伝説にもなっています。

第5戦で、巨人に1点リードされ、9回ツーアウトに追い込まれます。しかし、ここで大不振の5番打者の関口清治が、センター前へ同点のタイムリーヒット。延長10回裏に稲尾自らサヨナラホームラン!

最終戦の後楽園での試合を完投し終わったときには、さすがの稲尾さんも、「勝ったとおもわずに、もう投げなくていいんだと思った」そうです。

稲尾さんが、鉄腕と呼ばれるようになったのは、昭和33年の日本シリーズの熱投のときからです。

美味しいお酒を飲みながら、野球観戦はどうですか?(*^-^*)

1シーズン78登板、42勝、353奪三振

スタルヒンと並ぶ、稲尾投手の自慢の記録、シーズン42勝は昭和36年につくられました。

因みに、このシーズンの78登板、353奪三振も当時の新記録でした。投球回に至っては驚異的な404回も投げています。

7年後に阪神タイガースの江夏豊投手に更新(401奪三振)されましたが、今でもパリーグ記録として残っています。

昭和36年の稲尾投手の成績↓
(赤文字はリーグトップ)

登板 先発 完投 勝利 敗戦 勝率
78 30 25 42 14 .750
投球回 奪三振 完封 無四球 与四球 防御率
404 353 7 6 72 1.69

(アウトを)打たせてとるタイプの稲尾投手でしたが、このシーズンに関しては、どんどん狙って三振を狙ったとっていったようです。

江夏豊投手が重くて早いストレートで三振をドンドンとっていったのに対して、稲尾投手はキレのあるシュートやスライダーで打者のバットにかすらせませんでした。

さて、42勝したシーズンをピークに8年連続して20勝以上してきた稲尾投手でしたが、流石に今までの酷使がたたり、肩に痛みがはしり、昭和39年は僅か6試合の登板で0勝に終わってしまいます。

色々な治療を試み、何とか復活しましたが、もう20勝はあげることはできずに、32歳の若さで引退することになります。

稲尾和久投手の投手としての特徴


稲尾投手は、当時の打者たちによると、驚くほど早いボールを投げたわけではないと証言しています。ただ、スライダーとシュートのキレは抜群で、何よりコントロールが素晴らしかったようです。

「140キロ台のボールをコントロールよく9イニングを投げ続けることができた」

とチームメイトだった遊撃手の豊田泰光さんは生前語っており、

400勝投手の金田正一さんも、

「今世紀で3本の指に入る投手。投球技術はワシよりも上だった」

と語っていました。

逆算のピッチングといわれ、例えばランナーが1塁にいて、併殺打を打たせたい場合、5球目にシュートで強いゴロを打たせようと決めると、4球目、3球目、2球目、初球と逆算して球種とコースを投げわけることができたといわれています。

通算防御率が1.98と1点台なのも納得ですね♪(o^^o)

稲尾和久投手の打ち立てた記録

〇3年連続30勝 日本記録

〇8年連続20勝 金田正一(国鉄)の14年に次ぐ2位

〇7年間で200勝達成 日本記録

〇シーズン42勝 ビクトル・スタルヒン(巨人)と並び日本記録

〇シーズン353奪三振 江夏豊(阪神)に次ぐ2位 パリーグ記録

〇シーズン404投球回 パリーグ記録

〇通算防御率1.98  歴代3位 パリーグ記録

〇シーズン防御率1.06  パリーグ記録

稲尾和久投手の年度別投手成績

年度 勝利 敗戦 投球回 奪三振 防御率
昭和31 21 6 262.1 182 1.06
昭和32 35 6 373.2 288 1.37
昭和33 33 10 373 334 1.42
昭和34 30 15 402.1 321 1.66
昭和35 20 7 243 179 2.59
昭和36 42 14 404 353 1.69
昭和37 25 18 320.2 228 2.30
昭和38 28 16 386 226 2.54
昭和39 0 2 11.1 2 10.32
昭和40 13 6 216 101 2.38
昭和41 11 10 185.2 134 1.79
昭和42 8 9 129 87 2.65
昭和43 9 11 195 93 2.77
昭和44 1 7 97 46 2.78
合計 276 137 3599 2574 1.98

 稲尾和久投手の通算成績

身長 180cm
体重 80kg
利き腕 右投げ右打ち
守備位置 投手
背番号 24
所属球団 西鉄ライオンズ
実働 14年
登板 756
先発 304
完投 179
完封 43
無四球 34
勝利 276 歴代8位
敗戦 137
勝率 .668 歴代2位(2000投球回以上)
投球回 3599
与四球 719
奪三振 2574 歴代8位
防御率 1.98 歴代3位(2000投球回以上)
最多勝 4回 3位タイ
最優秀防御率 5回 1位
最多奪三振 3回
最高勝率 2回
MVP 2回 初の2年連続MVP
沢村賞 当時はセ・リーグのみ対象
ベストナイン 5回 1位タイ
ゴールデングラブ賞