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【戦後突如現れ新人で20本塁打!】打率.383も記録した大下弘の成績

さて、川上哲治、青田昇と、大正生まれの偉大な野球選手を2人紹介しました。今回も、同じ大正生まれの大打者、天才ホームランバッターといわれ、プロ野球界にホームランブームを巻き起こした国民的スター、大下弘選手を紹介します。

大下選手の出現で、球界はホームランブームになり、各チームの強打者たちもホームランを狙うようになりました。その功績と記録を振り返ります。

シーズン20本塁打の新記録 球界にホームランブームを巻きおこす


まず、結論からいいますが、戦前のプロ野球では、首位打者というタイトルはあっても、本塁打はあまり評価されなかったようです。

フライを打つのはよろしくないこと、強いゴロを打つのが望ましいとされていたと故青田昇さんは言っていました。

事実、今では考えられませんが、戦前は僅か2本で本塁打王になった選手もいます。令和の現在では、最低でも30本以上は打たないとまず本塁打王にはなれません。

そういう球界に突如として現れ、ホームランをポンポンと量産し、ホームランブームを巻き起こしたのが、セネタースに入団した大下弘選手です。
(左投左打、の外野手)

戦前の年間ホームランは、昭和13年の巨人中島治康の11本が最高記録でした。

その記録をぬりかえ、大下選手は20本塁打を放ち記録を更新しました。今からみると、たった20本で何てそんなに騒ぐのって感じですが、当時のボールは非常に粗末で、今とは考えられない位飛ばなかったそうです。

しかも、大下選手が放つホームランは、ライナーとは違い虹を描くような綺麗なフライです。ファンもそんな大下選手に熱狂したということです。

特に美男子ということもあり、女性や子どもたちからの人気があり、国民的スターでした。

大下選手がデビューしたチームはセネタースで、それほど強いチームではありませんでしたが、大下選手のホームランが見たくて、ファンは球場に足を運んだということです。

そして、そんな大下選手に刺激され、川上哲治、青田昇、西澤道夫、小鶴誠といった各チームの強打者たちも、ホームランを狙うようになりました。

昭和24年、25年はラビットボール(よく飛ぶボールのこと)が使用されたこともあり、藤村が物干し竿バットで46本、小鶴が51本、西澤が46本、青田が33本、大下が38本など、各球団の強打者がホームランを量産しました。

アベレージヒッターに転向。シーズン打率.383の新記録

さて、そんな偉大な大下選手ですが、昭和25年頃からは、どういうわけか、ホームランから打率重視のバッティングに変更しています。

昭和26年は、セリーグでは巨人の川上哲治選手が、.377の高打率で首位打者になっていますが、大下選手はそれを上回る.383という4割近い打率で、3度目の首位打者になっています。

この記録は、昭和43年に、東映フライヤーズの張本勲選手が.3834で更新するまで日本記録でした。

令和2年の現在でも、3割8分以上の打率を記録したのは、大下弘、張本勲、ランディ・パース、イチローの4人だけです。

このことから、大下選手は高レベルでのホームランバッターでもあり、高レベルのアベレージヒッターでもあったことがよくわかります。

大下選手は、昭和24年11月19日の大陽戦で、1試合7安打の大記録をつくってるよ!

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東急フライヤーズから西鉄ライオンズに移籍 黄金時代の4番打者に

さて、大下選手は昭和27年に、東急フライヤーズから西鉄ライオンズに移籍します。西鉄は三原修監督の元、高卒の選手をメインにチームづくりをしていました。

大下選手を獲得したのは、勿論打撃の戦力になりますし、さらにチームの柱としての役割の選手が欲しかったからだと思います。

その後の西鉄ライオンズは、昭和29年に初めてリーグ優勝します。大下選手は、打率321  22本塁打 88打点で最高殊勲選手(MVP)を受賞しました。

大下弘の年度別打撃成績

年度 安打 打率 本塁打 打点 盗塁
S.21 111 .281 20 74 16
S.22 137 .315 17 63 12
S.23 132 .266 16 72 26
S.24 145 .305 38 102 27
S.25 136 .339 13 72 18
S.26 123 .383 26 63 5
S.27 109 .307 13 59 9
S.28 136 .307 12 61 8
S.29 165 .321 22 88 11
S.30 141 .301 12 63 7
S.31 90 .259 4 52 3
S.32 121 .306 4 55 2
S.33 44 .221 1 10 1
S.34 77 .303 3 27 1
合計 1667 .303 201 861 146

大下弘の通算成績

実働14年
試合 1547
打席 6121
打数 5500
安打 1667
二塁打 293
三塁打 66
本塁打 201
塁打 2695
打点 861
得点 763
盗塁 146
四球 535
三振 608
出塁率 .368
長打率 .490
最多安打 1回
首位打者 3回
本塁打王 3回
打点王 0回