さて、以前巨人の9連覇のエース堀内恒夫投手をとりあげました。今回は、同じ時代に巨人で活躍した左腕エースの高橋一三投手を紹介します。高橋投手は堀内投手が1度しか経験がない20勝投手に2度なっています。これを読めば、高橋投手の活躍ぶりがよくわかります。
左腕エースとして9度の胴上げ投手に

高橋一三投手は通算で9度も胴上げ投手になっています。これは日本記録です。内訳は、公式戦で5度、日本シリーズで4度。
胴上げ投手というのは、チームが優勝した時点で最後にマウンドにたっていた投手のことを指します。(実際に胴上げされることが多いです)
何故9度も胴上げ投手になれたかというと、勿論高橋投手が投手としての実力があり、登板の機会が多かったのが1つ。2つ目は、現役時代の前半に在籍していた巨人が黄金時代で9連覇していた時代だったからです。
それにしても、ある意味完全試合(1人も走者を出さずに点も与えずにに27人を打ち取り完投すること)と同じく、投手なら1度は経験してみたい胴上げ投手に9回もなれたわけですから、随分幸せな投手といってもいいかもしれません。(o^^o)
20勝と沢村賞を2度達成 V9の左腕エースに

高橋投手はV9期間中に昭和44年と昭和48年に20勝を2回達成、セリーグの最高の投手に贈られる沢村賞も2回受賞しています。
(令和2年の現在では、沢村賞はセリーグ、パリーグ両リーグが対象になっています)
昭和44年から昭和48年までは、2桁勝利、200イニング、150奪三振、防御率2点代を5年間続けました。
内容も素晴らしく昭和44年は15連勝を含む22勝5敗。最多勝と勝率.815で最高勝率。ベストナイン。
特に、23勝をあげた昭和48年には306.1イニングで238奪三振。それまで阪神江夏投手が6年連続で独占していた奪三振のタイトルを奪いとりました。2度目の沢村賞とベストナイン。
急速も速く、左腕ながら150キロはオーバーしていたと伝えられています。これは余談ですが、水島新司先生の漫画「男どアホウ甲子園」の主人公 藤村甲子園の投球フォームのモデルになったと言われています。
日本ハムの昭和56年の優勝に貢献 通算1997奪三振で引退
高橋投手は昭和50年に6勝に終わると、張本勲選手とのトレードで富田勝選手とともに日本ハムに移籍します。
移籍1年目の昭和51年に10勝(12敗)をあげて見事復活します。その後も中々の活躍をしていました。特に日本ハムがリーグ優勝をした昭和56年には、もう早い球は投げられなくなっていましたが、14勝6敗、12完投と大活躍でチームに大貢献しました。
昭和58年開幕時には、通算2000奪三振にあと53個と迫っていましたが、惜しくも3つとどかずに引退しています。


北川工業高校から巨人に入団
高橋投手は昭和40年(昭和39年の秋)に巨人に入団しました。ドラフト制度が始まったのは昭和40年の秋ですから、自由獲得競争の最後の選手とも言えます。
下関商業の選抜優勝投手の池永正明投手を観に行った巨人木戸スカウトが、北川工業高校(現在は県立府中東高校)の高橋の評判をきいて、狙いを高橋1本に絞ったという話が伝わっています。
因みに、池永投手は結局同じプロ野球の西鉄ライオンズに入団し、いきなり20勝して新人王。5年間で99勝して西鉄のエースになりました。
高橋一三投手の年度別成績
年度 | 勝利 | 敗戦 | 投球回 | 奪三振 | 防御率 |
S.40 | 0 | 0 | 6.0 | 5 | 9.00 |
S.41 | 6 | 5 | 74.2 | 53 | 2.17 |
S.42 | 6 | 7 | 104.1 | 89 | 3.11 |
S.43 | 7 | 3 | 126.1 | 94 | 2.49 |
S.44 | 22 | 5 | 256 | 221 | 2.21 |
S.45 | 12 | 10 | 215 | 180 | 2.97 |
S.46 | 14 | 7 | 226.2 | 151 | 2.94 |
S.47 | 12 | 11 | 214.1 | 170 | 2.98 |
S.48 | 23 | 13 | 306.1 | 238 | 2.21 |
S.49 | 2 | 11 | 121.1 | 75 | 5.12 |
S.50 | 6 | 6 | 115.2 | 88 | 3.58 |
S.51 | 10 | 12 | 188.2 | 140 | 3.39 |
S.52 | 6 | 10 | 140.1 | 108 | 3.66 |
S.53 | 2 | 2 | 48 | 34 | 3.75 |
S.54 | 3 | 4 | 43.2 | 26 | 5.15 |
S.55 | 9 | 7 | 177.1 | 112 | 3.55 |
S.56 | 14 | 6 | 198.2 | 110 | 2.94 |
S.57 | 7 | 8 | 113.2 | 53 | 5.23 |
S.58 | 6 | 5 | 101 | 50 | 4.01 |
合計 | 167 | 132 | 2778 | 1997 | 3.18 |
どうでしょう。高橋一三投手のことが少しでもわかったでしょうか?以前のブログで、同じ巨人で同時代に大活躍した堀内恒夫投手もとりあげています。リンクを貼っておきますのでよかったらご覧ください。
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