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江川卓のライバル 西本聖投手の成績【日本シリーズ29イニング連続無失点の日本記録】  

昭和58年の日本シリーズ第5戦、偉大な記録が作られました。

巨人、西本聖投手がつくった日本シリーズ29イニング連続無失点記録です。

西本投手といえば、昭和49年に松山商業からドラフト外で巨人に入団。

並外れた練習量で江川卓投手と並び巨人のエースとなり、チームの日本一に貢献したことで有名です。

江川卓投手との成績を比較しながら

今回、西本投手の功績をふりかえりたいと思います。

日本シリーズで29イニング連続無失点の日本記録

西本投手は、公式戦で江川卓投手とともにエースとして活躍しました。

日本シリーズでも好投し、29イニング連続無失点の日本記録をもっています。

記録は、昭和56年の日本シリーズ(対日本ハム)第2戦〜昭和58年の日本シリーズ(対西武ライオンズ)第5戦の間につくられました。

この間2試合連続完封勝利をあげていますが、昭和56年の第4戦では、何と13安打を打たれながら完封しています。

西武ライオンズの田淵幸一選手にホームランを打たれて記録はストップしましたが、立派な日本記録です。

それまでの記録は、西鉄ライオンズの稲尾和久投手が巨人相手につくった、昭和33年、第4戦~第7戦の、26イニングでした。

西本投手は、25年ぶりに稲尾投手の記録を更新しました。

「1シーズン42勝。3年連続30勝【鉄腕】稲尾和久投手の成績」の記事はこちら 

クロ
クロ
鉄腕と呼ばれた 稲尾投手の記録を破るなんてすごいニャー!
そのとおり!因みに、公式戦の無失点記録は、金田正一投手が作った64.1イニングが日本記録だよ!
ふっく
ふっく

ライバル江川卓との勝星争い

チームメイトの江川卓投手とは、9年間チームメイトで、お互いが認めあうライバルでした。

「【空白の1日で巨人に入団】怪物、江川卓投手の成績 通算135勝」の記事はこちら

しかし、毎年の勝星を比べるとよくわかるのですが、

どうしても西本投手は江川投手を上回る事ができません。

年度 江川卓
勝利数
西本聖
勝利数
昭和54年 9勝 8勝
昭和55年 16勝 14勝
昭和56年 20勝 18勝
昭和57年 19勝 15勝
昭和58年 16勝 15勝
昭和59年 15勝 15勝
昭和60年 11勝 10勝
昭和61年 16勝 7勝
昭和62年 13勝 8勝

しかし、西本投手が開幕投手をつとめた昭和56.58.62年と巨人が優勝しているのに比べて、

江川投手が開幕投手を務めた昭和55.57.59.61年は巨人は優勝を逃しています。

年度 巨人の
開幕投手
チーム順位
昭和55年 江川 卓 3位
昭和56年 西本 聖 優勝
昭和57年 江川 卓 2位
昭和58年 西本 聖 優勝
昭和59年 江川 卓 3位
昭和60年 西本 聖 3位
昭和61年 江川 卓 2位
昭和62年 西本 聖 優勝

このことについて、江川投手は、著書の中で、

「僕らしいジンクス」と語っています。

シュートを武器に、打たせて取る投球術

西本投手の特徴ですが、150キロを超えるストレートはありませんでしたが、キレの良いシュートボールを武器に、内野ゴロを打たせてとるタイプの投手でした。

そのため、奪三振はそれ程多くなく、1番多い年でも、昭和56年の126個が最多でした。

しかし、昭和56年の日本シリーズ第2戦では、日本シリーズ初の毎回奪三振を記録するなど意外な記録もつくりました。

中日ドラゴンズで復活!初の20勝投手になる

昭和55年から昭和60年まで、4年連続15勝を含む6年連続2桁勝利をあげた西本投手でしたが、昭和61年からは3年連続して7.8.4勝とあまり勝てなくなりました。

周囲からは「もう西本は限界か!」ともいわれました。しかし、当時中日ドラゴンズの星野仙一監督は、西本投手の力を高く評価していました。

「もう1度鍛え直せばまだ活躍できる!」

と、昭和63年オフにトレードで西本投手を獲得します。

翌平成元年には、西本投手は何と自身初の20勝をあげて復活。巨人の新エース、斎藤雅樹投手とともに、最多勝を獲得しました。

因みに、西本投手とトレードで移籍した中尾捕手も巨人で活躍し、平成元年はベストナイン捕手に選出されています。

両チームともに、大成功した典型的なトレードといえます。(o^^o)

西本聖投手の年度別投手成績

年度 勝利 敗戦 投球回 奪三振 防御率
昭和51 0 0 1 0 27.00
昭和52 8 5 118 54 2.67
昭和53 4 3 129.1 64 3.76
昭和54 8 4 153 85 2.76
昭和55 14 14 222 118 2.59
昭和56 18 12 257.2 126 2.58
昭和57 15 10 262 124 2.58
昭和58 15 10 239.1 122 3.84
昭和59 15 11 224.2 91 3.12
昭和60 10 8 169.2 66 4.03
昭和61 7 8 104 33 3.89
昭和62 8 8 130 67 3.67
昭和63 4 3 64.2 35 3.90
平成1年 20 6 246.2 96 2.44
平成2年 11 9 174.1 71 3.25
平成3年 2 1 39.2 23 3.18
平成4年 1 11 75.2 25 4.88
平成5年 5 5 65.1 39 4.41
合計 165 128 2677 1239 3.20

 

西本聖投手の通算成績

身長 176cm
体重 81kg
利き腕 右投右打
守備位置 投手
背番号 巨人時代58、26
中日時代25,24
オリックス時代52
所属球団 読売ジャイアンツ
(13年間)
中日ドラゴンズ
(4年間)
オリックスブルーウェーブ
(1年間)
実働 18年
登板 504
先発 355
完投 122
完封 23
無四球 22
勝利 165
敗戦 128
勝率 .563
投球回 2677
与四球 569
奪三振 1239
防御率 3.20
最多勝 1回 平成1年
最優秀防御率 0回
最多奪三振 0回
最高勝率 1回 平成1年
MVP 0回
沢村賞 1回 昭和56年
ベストナイン 0回
ゴールデングラブ賞 8回 昭和54年~60年、平成1年
投手部門最多記録
7年連続も最長記録