平成元年、7月15日。偉大な記録が生まれました。
巨人、斎藤雅樹投手の11試合完投勝利です。
それまでの記録は、昭和53年に近鉄バファローズの鈴木啓示投手がつくった10試
斎藤投手は、11年ぶりに鈴木投手の記録を更新しました。
さらに、その年、翌年と連続して20勝をあげて、完全に巨人、
あらためて斎藤投手の功績をふりかえります。
ふっく
埼玉在住の会社員。好きな野球のブログを2019年から続けている。
当サイトで、主にプロ野球選手を1人づつとりあげたり、ネタにしている。
11連続完投勝利の日本記録達成
斎藤投手は、沢山の投手記録を持っていますが、その中でももしかしたら最も誇れる記録がこの記録かもしれません。
平成元年につくった11試合完投勝利という記録です。
この記録は、5月10日の大洋ホエールズ戦から、7月15日のヤクルトスワローズ戦でつくられました。
そのうち、
完封勝利が3試合連続を含む4回。
1自責点の完投勝利が4回。
2自責点の完投勝利が3回。
という文句のつけようのない素晴らしい内容です。
因みに、この年の巨人は、投手陣が整備され、21完投の斎藤投手の他にも完投できる投手が桑田真澄投手、槙原寛己投手などがいましたが、
その豪華な投手陣の中でも最高の成績を残したのがこの斎藤雅樹投手でした。
「ミスター完投」とも言われました。
何しろ、最近のプロ野球では、完投はおろか、調子が良い状態でも球数が100球を超えたらリリーフに交代、1週間開けて次に登板するのが常識になりつつあるプロ野球です。
この年の巨人は、130試合で、実に半数以上の69試合の完投を記録しています。
この記録はかなり凄いです。
何しろ、昨年(2020)の巨人のチームでの完投数が僅かに4試合です。
しかし、平成の初期のころは、まだシーズン10完投以上する投手が結構いました。
平成元年の巨人の投手の成績↓
投手名 | 試合 | 完投 | 勝敗 | 投球回 | 防御率 |
斎藤雅樹 | 30 | 21 | 20-7 | 245 | 1.62 |
桑田真澄 | 30 | 20 | 17-9 | 249 | 2.60 |
槙原寛己 | 21 | 14 | 12-4 | 150.2 | 1.79 |
因みに、個人の投手のシーズン完投は別所毅彦投手の47完投です。
「南海、巨人でエースとして君臨 別所毅彦投手の成績 通算310勝」の記事はこちら
藤田元司監督のアドバイスでサイドスローに転向
斎藤投手は、埼玉県川口市で育ち、川口リトルリーグ時代は意外にも捕手でした。
私立川口高校でエースとなります。元阪神タイガースの投手の内山清監督に指導され、昭和57年の全国高等学校野球選手権大会決勝戦に進みますが、惜しくも敗退し、甲子園は未出場でした。
昭和57年のオフのドラフトの目玉は、甲子園のスター選手だった荒木大輔投手でしたが、巨人はくじ引きで外してしまい、外れ1位で斉藤雅樹投手を指名します。
しかし、荒木投手には申し訳ないですが、プロ入り後の2人の成績を見ると、圧倒的に斉藤投手の方が成績が上です。
斉藤投手は、プロ入り後、通算180勝をあげたのに比べ、荒木投手は通算39勝で引退しています。
さて、巨人に入団した斉藤投手ですが、元々はオーバースローでしたが、当時の藤田元司監督のすすめでサイドスローに転向します。
昭和59年に王貞治氏が監督に就任後は、「斉藤は先発に向かない」とわれて敗戦処理が多かったのですが、平成元年に再び藤田氏が監督に就任します。
「斉藤、お前は気が弱いんじゃない、優しいんだ!」
「投手は臆病でないといけない。怖いというのは、お前が色々考えている証拠だ」
と先発で使い続けると、見違えるような結果を残すことになります。
最多勝を5回獲得、沢村賞を3回受賞
斎藤投手は、通算で180もの勝星をあげました。
しかし、何より特筆するのは、
最多勝を5回、最優秀防御率を3回、最高勝率を3回、
そして、最高の投手に贈られる沢村賞も、歴代最多タイの3回も受
沢村賞は、1988年までは、
つまり、それだけライバルが増えたということです。
斎藤投手が受賞した沢村賞3回は全て1989年以降。
それを考えると、斎藤投手の偉大さがよくわかります。
斎藤雅樹投手の年度別投手成績
年度 | 勝利 | 敗戦 | 投球回 | 奪三振 | 防御率 |
昭和59 | 4 | 0 | 44 | 43 | 3.07 |
昭和60 | 12 | 8 | 155 | 124 | 2.96 |
昭和61 | 7 | 3 | 90 | 63 | 2.40 |
昭和62 | 0 | 0 | 5 | 4 | 18.00 |
昭和63 | 6 | 3 | 66.2 | 55 | 1.89 |
平成1 | 20 | 7 | 245 | 182 | 1.62 |
平成2 | 20 | 5 | 224 | 146 | 2.17 |
平成3 | 11 | 11 | 178.2 | 103 | 3.38 |
平成4 | 17 | 6 | 187.2 | 148 | 2.59 |
平成5 | 9 | 11 | 149.2 | 105 | 3.19 |
平成6 | 14 | 8 | 206.1 | 144 | 2.53 |
平成7 | 18 | 10 | 213 | 187 | 2.70 |
平成8 | 16 | 4 | 187 | 158 | 2.36 |
平成9 | 6 | 8 | 118.1 | 61 | 4.11 |
平成10 | 10 | 7 | 146.1 | 93 | 3.08 |
平成11 | 5 | 2 | 83 | 45 | 4.66 |
平成12 | 3 | 1 | 34.1 | 20 | 2.10 |
平成13 | 2 | 2 | 41.2 | 26 | 4.32 |
合計 | 180 | 96 | 2375.2 | 1707 | 2.77 |
斎藤雅樹投手の通算成績
身長 | 181cm | |
体重 | 90kg | |
利き腕 | 右投右打 | |
守備位置 | 投手 | |
背番号 | ||
所属球団 | 巨人 | |
実働 | 18年 | |
登板 | 426 | |
先発 | 301 | |
完投 | 113 | |
完封 | 40 | |
無四球 | 18 | |
勝利 | 180 | |
敗戦 | 96 | |
勝率 | .652 | |
投球回 | 2375.2 | |
与四球 | 584 | |
奪三振 | 1707 | |
防御率 | 2.77 | |
最多勝 | 5回 | |
最優秀防御率 | 3回 | |
最多奪三振 | 1回 | |
最高勝率 | 3回 | |
MVP | 1回 | |
沢村賞 | 3回 | |
ベストナイン | 5回 | |
ゴールデングラブ賞 | 4回 | |
殿堂入り | ◎ |